ガスコンロのキッチンをリフォーム。 IHクッキングヒーターにする?しない?



こんなきっかけでIHを検討する方が多くいます。
キッチン設備の寿命は10年から20年といわれており、長く使っていると、コンロや水道、給湯に問題が出るものです。
設備の経年劣化だけでなく、時が経てばキッチンを使う人が変わったり、ライフスタイルの変化があったりするのは自然なこと。
この記事では、キッチンのガスコンロをIHにリフォームするとき知っておきたい工事や費用のことと、IHの良さをお伝えします。
Contents
IHクッキングヒーターへのリフォーム前に確認したいこと
電力が磁力に変換されて熱エネルギー作られ、鍋自体を加熱する……これがIHの仕組みです。鍋本体を直火で温めるガスとはまったく異なる考え方で熱を起こします。
IHクッキングヒーターのタイプは2種類。据え置き型とビルトイン型
キッチンで使用するIHには、ガスコンロと同様、据え置き型とビルトイン型の2種類があります。
据え置き型 | |
![]() ヒーター数:1~3口(2口が主流) |
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メリット | ・設置のみで造作工事が不要 |
デメリット |
・電源を水はねから保護するバックガードが必要 ・カウンターとの間に隙間ができるので、掃除が手間 |
コンロの置き換えだけで済んでしまう据え置き型は、設置が簡単・比較的安価と導入しやすいのですが、電源が濡れないようにする必要があったり、カウンターとの隙間にものが落ちたりと、気になる点も。機能も絞られているものが多いようです。
もしも既存のコンロが据え置き型であっても、必ずしも同型にする必要はありません。専用枠を追加購入することで、ビルトイン型を選ぶこともできます。
ビルトイン型 | |
![]() ヒーター数:1~4口(3口が主流) |
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メリット | ・カウンターにすっきりと収まり見栄えがよく手入れもラク |
デメリット | ・造作工事が必要 |
現在システムキッチンを導入しているご家庭には、同じように一体型としてすっきり収まるビルトイン型がおすすめです。天板幅は各メーカーとも共通規格で、60cmと75cmの2種類があります。
サイズの変更を考える場合には注意が必要です。75cmから60cmへとサイズダウンをする場合は、元のコンロのあとが見えてしまう場合があります。
60cmだったものを75cmにサイズアップすると、調理スペースがその分削られることになります。また消防法の規定によってレンジフード幅を上回るサイズのコンロ設置は不可とされているため、フードが60cmだった場合、そのままでは75cmコンロへの変更ができません。
導入前に確認すべきこと。電圧とアンペア数
IHを導入するためには事前に確認すべき点があります。
まずは電圧。多くのIHが200ボルト仕様の製品ですが、一般的な家庭用コンセントは100ボルトのため、キッチンに200ボルトのIH専用コンセントを設置する必要があります。ブレーカーからキッチンへIH専用の回路をつなげますが、ブレーカーに空いている回路がない場合は増設しなくてはなりません。
また現在契約中のアンペア数が導入するIH機器に見合った数値になっているかも重要です。電力会社との契約電気容量を超えるものを設置する場合、アンペア数の契約も見直さなければなりません。
気になる初期費用はいくら?
本体価格と工事費用を合わせたものが初期費用です。
IH本体の価格は幅が広く、安いものでは6万円程度、上位機種では40万円を超えるものも。性能によって大きな差があります。メーカーや製品によっても変わりますが、値引きが期待できるものもあります。見積書を確認の上、交渉してみましょう。
本体に加えてかかるのが工事費用です。ガスコンロからIHへ交換するための工事にはIH専用回路をつなぐ配線工事、設置工事、ブレーカーの増設や交換があります。これらの工事を合わせて6万円前後が相場とされています。これはIHの本体価格に左右されることはありません。また、業者によってガス閉栓の工事に費用がかかることもあります。
初期費用を抑えたいのであれば、IHの性能を必要なもののみに絞るのがおすすめです。
IHクッキングヒーターのメリットとデメリットを知ってうまく使おう!
ガスコンロからIHに交換したばかりのときは、使い勝手の違いに戸惑うこともあるでしょう。そんな事もあって、使い慣れたガスコンロからIHの導入に躊躇しているという人は少なくないはずです。
IHはどんな点がガスコンロと違うのでしょうか。メリットとデメリットに分けてみていきましょう。
IHのメリット
熱効率が良い
IHは鍋自体が熱をもって温まります。そのため、鍋の周囲を火で温めるガスよりも早くお湯が沸きます。熱効率が弱いように思われがちですが、実はガスよりも強いのです。
直火を使わない
火災原因のひとつに、調理中の火の燃えうつりがありますが、IHは直接火を使わない分、そのリスクが下がります。直火に触れることがないのはなによりの安心材料です。
掃除がしやすい
五徳が必要なガスコンロと異なり、IHの表面はフラット。凹凸がないので汚れのふき取りにも手間がかかりません。
温度調節が簡単
設定温度がデジタル表示でわかりやすくなっているモデルが多く、調整が容易で「揚げ物への苦手意識がなくなった」という方も。
室内が暑くならない
夏場、暑い室内での調理は負担ですよね。IHであれば火気が発生しないため、室温が上がることはありません。
IHのデメリット
IH対応の調理器具でないと使えない
IHは調理器具に電磁波が伝わらないと温めることができません。そのため、IHに対応した調理器具を選ぶ必要があります。IH対応のモデルは高価なものが多く、気軽に買い換えとはいかない場合も。
使用後の表面の熱さに気づきにくい
火を使わない分、IHは安全と思われがちですが、使用後の表面はかなり高温になっています。知らずに触ってやけどをすることもあるので注意しましょう。
消費電力が高い
また調理時の火力が強いほど、消費電力が上がります。自動で火力制限がかかることもあるため、複数のヒーターを同時に使うときは、望む火力を保つことが難しい場合もあります。
ドライヤーのように消費電力が高い機器を同時に使うときも注意が必要です。一時的に使用電力がオーバーし、ブレーカーが落ちる恐れがあります。
電磁波の影響が気になる人も
IHは仕組み上、電磁波がつきもの。電磁波についての研究データはさまざまで、健康被害についての判断は、専門家の間でも意見が分かれ明確ではありません。
停電中は使えない
停電があった場合、通電しなければ使えないIHは一切利用できません。そのため、いざというときに備えてガスのカセットコンロを防災用品として用意しておく方もいるようです。
使用時間帯によっては電気代が上がる
また、電力会社の契約プランによっては調理で利用する時間帯の電力価格が高く設定されていることもあり、知らずに導入すると電気代に驚くことになります。
IHのメリット |
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IHのデメリット |
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一長一短の特徴を持つIHクッキングヒーター。合うのはこんな人!

メリットもあればデメリットもあるIH。それぞれ、気になる点、あまり気にならない点があると思います。どこにフォーカスして考えるかはそれぞれのご家庭次第ですが、一般的にIHが向いていると言われるのはこんな方です。
火気の扱いに不安がある
IHは直火の利用が不安になった方のキッチンへ導入されることが多くあります。その方の生活の変化によって、ガスコンロより扱いやすいと選ばれています。
食事を自分で整えることは自立のひとつ。できることを手放したくないと考える方の気持ちにも寄りそえます。
留守中子どもが調理をする
留守の多い共働き世帯にもおすすめ。子どもが大きくなるにつれ、自分たちで簡単な食事を用意することも増えてきます。そんなとき、ガス火を使うよりも心配が少ないと選択されています。
プロパンガスを利用している
プロパンガスの供給エリアに住んでいる方にも、IHはよい選択です。価格が高いガスの使用量を減らすことができ、節約に結びつくことも。
なお、ガスからIHに切り替える場合には既存の設備を撤去する必要があります。必ずガス事業者に連絡の上、閉栓処理を依頼することをお忘れなく。
まとめ
ガス調理に親しんでいた方がIHに抵抗を持つのはよくあることですが、IHならではの利点も多くあります。今後の生活により適したものを選んで、負担や不安の少ない、楽しいキッチンライフをお過ごしください。